通電切削
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通電切削 ( electric current assisted cutting ) とは、工具と被削材の間に電流を流しながら行われる切削加工である。
詳細
難削材の被削性向上や工具寿命の伸長を目的として行われる。まだ実用化には至っていないが、これまでに以下のような研究報告がある。
- 数百アンペアの大電流で発生するジュール熱によって被削材を瞬時に加熱し、高温軟化によって被削性を向上させる(通電高温切削)。構成刃先の発生を防ぎ、仕上げ面粗さが向上する。主に1950年代から1960年代にかけて研究された[1]。
- 超硬工具による高速対応型快削鋼の切削において、微量通電によってベラーグ(被削材中の非金属成分によって工具表面に形成される保護膜)の生成を促進し、工具摩耗を減少させる。電流は数ミリアンペアから数十ミリアンペア程度[2]。
- ダイヤモンド工具による鉄系材料の切削において、通電によって工具の熱化学的摩耗を抑制し、仕上げ面粗さを向上させる。通電のため、元素ドーピング等で導電性を付与したダイヤモンド工具を用いる。電流は数百ミリアンペア程度[3]。
引用
- ↑ 大越諄,上原邦雄:高温切削法に関する研究(第4報)-通電高温切削法の効果(その2)-,精密機械,26,9,(1960),535.
- ↑ 田中隆太郎,細川晃,上田隆司,山田啓司,林勇伝:高速対応型快削鋼の被削性に及ぼす微量通電の効果-BN添加鋼の微量通電切削-,2005年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,(2005),671.
- ↑ 本田索郎,山口勝己,足立和俊,島田尚一,福西利夫:電圧印加による難削材の超精密切削加工,日本機械学会第7回生産加工・工作機械部門講演会講演論文集,(2008),315.