巧妙加工
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巧妙加工法 ( Dexterous Machining ) とは,次世代の工作機械に求められる,熟練者の技能を取り込み,それを自動化技術で巧みに製造する概念である.
詳細
巧妙加工には,(1)非常に複雑な形状を加工すること,(2)把持や保持をすることが極度に困難なものを加工すること,(3)非常に硬い,あるいは柔らかい材料を加工すること,(4)そのままでは非常に不安定である形状を加工すること,などがあげられる. 非常に複雑な形状を創成するという課題に対しては,5軸制御機能をもつ複合加工機を活用して,立法体の中に球形を生成すること[1]や曲がった複数の円柱を加工すること[2]が試みられている.また,超精密加工機を用いたマイクロ複雑形状の加工にも取り組まれている[3].
把持や保持の難しい材料においては,酢酸ナトリウム水溶液の過冷却状態からの急速な凝固現象を利用し,ゴムなどの柔軟工作物の把持,見かけ上の剛性を確保し,巧妙加工の適用範囲を広げている[4].
工業製品はなんらかの機能を有しており,その機能を実現するために,機能を司る形状を単純な要素に分割し,それらを組み合わせて製造される.しかし,これからは個人の感性に合わせた個性的な製品形状が望まれることになる.このような消費者の要求を満たすためには,複雑な形状を分割することなくそのまま処理し,芸術品や工芸品のような高い価値を有するものを創成する技術が不可欠となる.また,これまでの高品質で高生産性を目指す加工法に加え,高付加価値を目指した巧妙加工では,高度な機械加工を達成するプロセスの決定に熟練した技能者のノウハウをアルゴリズム化し,汎用性の高いCAMシステムも開発する必要がある.
外部リンク
引用
- ↑ 濱田大地, 中本圭一, 石田 徹, 竹内芳美;入れ子を有する複雑形状の巧妙加工, 日本機械学会論文集(C編), 77巻, 780号, pp.3127-3136, (2011-08).
- ↑ 夏目矩行, 中本圭一, 石田 徹, 竹内芳美;複数の曲がり円柱からなる複雑形状の巧妙加工, 日本機械学会論文集(C編), 78巻, 786号, pp.697-706, (2012-02).
- ↑ 西山 諒, 中本圭一, 石田 徹, 竹内芳美;マイクロ複雑形状の超精密巧妙加工, 日本機械学会論文集(C編), 78巻, 792号, pp.3085-3092, (2012-08).
- ↑ 中本圭一, 植地亮太, 竹内芳美;把持の難しい柔軟工作物の巧妙加工, 日本機械学会論文集(C編), 79巻, 808号, pp.4535-4542, (2013-12).