精密加工

工具たわみ

工具たわみ ( tool deformation ) は、切削加工において切れ刃に作用する切削力に基づく工具の弾性変形のことである。

詳細

加工面生成

工具たわみ ( tool deformation ) は、切削加工において切れ刃に作用する切削力に基づく工具の弾性変形のことである。フライス加工においては回転する工具の中心軸、旋削加工においては工具台に取り付けたバイトのそれぞれ突き出た部分における変形である。工作物および工作機械の剛性が工具に比べて大きいと仮定すると、工具たわみが加工誤差の主な原因となる[1]。前者においては断続切削により変動する切削3分力の影響を受け、工具中心軸の振れ回りが避けられない。そのため、図1に切削中におけるねじれ刃の加工面創成点Bの軌跡 ( CaDa ) と加工面生成モデルをY-Z面に投影して示しているが、各工作物位置 ( Zw1~Zw4 ) では破線で示す理想形状(直線)に対して波形状の加工誤差が生じることになる[2]。一方、後者においても切削3分力は避けられないが、外丸加工では半径方向となる背分力方向のたわみが加工誤差に大きく影響し、半径方向のたわみに相当する値だけ工作物の半径が増減するため、その2倍の寸法誤差を生じることになる[3]

引用

  1. 工作機械加工技術研究会編:モノづくりの基本 機械加工&切削工具,大河出版,初版(2019)156頁.
  2. 藤井義也,岩部洋育,鈴木雅晴:切削中におけるエンドミルの挙動と加工精度との関係(第1報)―加工誤差生成機構―,精密機械,43,7(1977),807-813.
  3. 中山一雄,上原邦雄:新版切削加工,朝倉書店,新版(2011)214頁.
執 筆 : 岩部 洋育

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