精密加工

快削材

快削材 ( free machining material ) は、添加物や熱処理などにより削り易くした材料である。

詳細

 快削材は、①機械的性質を劣化させない程度のごく微量の添加物や、②材料製造工程上の工夫、あるいは③熱処理により、被削性を向上させた材料である。

 硫黄、鉛、ビスマス、セレン、テルルなどが代表的な添加物である。非鉄金属では珪素を添加しているものもある。これらの添加物は、切りくず生成領域で破壊起点として作用し切削抵抗を低下させる。また、工具すくい面と切りくずとの摩擦を低減する効果を持つとされているものもある。第一世界大戦頃に鋼材の硫黄含有量による被削性向上が判明し、その後鉛快削鋼が発明された。第二次世界大戦頃には、これらの快削化手法が非鉄材料等にまで応用されていた。

 材料製造工程内の工夫により快削性を与えた代表的な材料として脱酸調整快削鋼があげられる。この材料は、切削中に鋼材内に含まれる非金属介在物を工具のすくい面に選択的に堆積させ、この堆積皮膜によって工具摩耗を抑制し、被削性を向上させる鋼材である。[1]

 快削鋼のほかに、快削ステンレス鋼、快削銅、快削黄銅、快削アルミニウム合金などが快削材として実用化されている。

 また、一部の鋳鉄では熱処理により難削性の要因となる組織を減少させ被削性を向上させる試みがある。 [2-4]

関連項目

外部リンク

引用

  1. 中島利勝,鳴瀧則彦,機械加工学,コロナ社(1983),106-111.
  2. 藤村善雄,実用切削加工法第2版,共立出版(1991),195-197.
  3. 吉城肇蔚,切削性と快削鋼,常盤書房(1944)
  4. 藤田,関谷他,ADIのドリル加工における被削性改善のための組織制御,精密工学会誌 62(1996),1315-1319.

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