X線CTによる形状計測 ( Dimensional measurements using X-ray Computed Tomography ) とは、X線によるコンピュータ断層撮影によって得られた測定対象の三次元ボクセルデータから、物体の寸法や形状を計測する手法である。
詳細

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機械部品の寸法や形状は元来、ノギスやマイクロメータ、ハイトゲージやダイヤルゲージなどのスモールツールや、投影機を使用して測定されてきた。座標測定機 ( Coordinate Measuring Machine, CMM ) が普及した二十世紀後半以降では、注目している領域 ( Region of Interest, ROI ) の部品表面(機械部品の場合は、一般に mechanical surface [1] である)の三次元座標値を取得し、数値計算によって寸法・形状を計測することが増えている。X 線 CT でも断層撮影によって得られた ROI の三次元データ(図1)に対して適当な閾値を設定するなどの方法により、部品表面に相当する境界面(図2)をポリゴンメッシュとして出力することで得られる三次元座標値(点群データ)から、同様の計算により部品の寸法・形状計測が行える(図3)。
X 線 CT による形状計測では、1 回の断層撮影及び再構成によって得られた三次元データから、ROI 中の複数の測定要素を同時に評価可能であり、CMM による測定の場合には接触子の届かない内部構造の測定も可能である、という利点がある。
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X 線 CT による形状計測では、物体表面の座標値を断層撮影による再構成データから間接的に取得するという原理から、測定結果が偽画像[2] の影響を受けやすく(図4)、本来の物体表面には存在していない見かけの形状偏差が、抽出された境界面に生じることが多い(図5)。そのため小さい不確かさで測定を行うためには、測定時に測定物の設置姿勢を変更する(図6、図7)、プレフィルタを適用する、などの工夫をする必要がある。また境界面抽出のアルゴリズムや決定時に設定する閾値によって、決定される境界面の位置が変化することから、安定的に寸法・形状測定値を得るためには、事前に境界面決定の方法について定めておく必要がある。
関連項目
引用
- ISO 14406:2010 Geometrical product specifications (GPS) — Extraction
- JIS B 7442:2013 産業用X 線CT 装置–用語, 2013.