精密加工

NC電解加工

NC電解加工 ( Numerically Controlled Electrochemical Machining, 略称NC-ECM ) とは、工具電極を数値制御(NC)によって三次元的に走査することで、所望の工作物形状を得る電解加工法である。

詳細

 電解加工においては、一般に所望の工作物形状を反転した形状を持つ工具電極を用い、電解液中で電圧を印可しながら工作物に対して工具を送ることで、その形状を工作物に転写して加工が行われる。しかし、以下のような問題がある。

・電解液温の上昇と水素気泡発生による導電率変化や、電極表面の傾斜の影響により、電極間距離が場所によって変化する。所望の加工形状を得るためにはこれらを考慮した電極設計とテスト加工による電極形状修正が必要となり、電極製作に手間がかかる。

・単位面積当たりの電流密度が同じであれば、加工面積が増加するとそれに応じて電流の総量が増加するため、大容量の電源が必要となる。

 一方で、NC電解加工 [1]は、パイプ状、球状などの単純形状電極を用い、それを走査することで所望の工作物形状を得る電解加工法である。加工形状の制御は、走査回数、走査速度、電流密度により制御することができる。前述の一般的な電解加工に比べ、次のような利点がある。

・単純形状の電極を用いるため、電極設計の手間がない。

・電極面積が小さいため、小容量の電源を用いることができる。ただし、単位時間当たりの加工量は小さいため、一品生産もしくは少量生産に適している。

 微細加工において複雑形状の加工を行う場合には、この手法が多く用いられている(例えば[2])。また、パイプ状のノズルから電解液を噴出させて加工を行う電解液ジェット加工において、ノズルを走査させることで種々の形状加工が行われている[3]

関連項目

引用

  1. K.P. Rajurkar, D. Zhua, J.A. McGeough, J. Kozak, A. De Silva, New Developments in Electro-Chemical Machining, CIRP Annals, 48, 2, 567-579, 1999.
  2. Rolf Schuster, Viola Kirchner, Philippe Allongue, Gerhard Ertl, Electrochemical Micromachining, Science, 289, 5476, 98-101, 2000.
  3. M. Kunieda, K. Mizugai, S. Watanabe, N. Shibuya, N. Iwamoto, Electrochemical micromachining using flat electrolyte jet, CIRP Annals, 60, 1, 251-254, 2011.

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