超精密切削 ( Ultraprecision Cutting ) とは、一般的な加工に用いられるものより精度の高い加工機と鋭利な切削工具を用いて、極めて微小な切取り厚さで行う切削加工であり、寸法誤差がサブマイクロメートルオーダ以下のものを指す。
詳細
加工精度に対する要求は加工物の寸法や形状、応用分野そして時代によって変化しているが、通常サブミクロンオーダ以下の形状精度とナノメートルオーダの表面粗さを達成した切削加工が超精密切削と呼ばれている。超精密切削は主に銅やアルミニウム、無電解ニッケルメッキなどの非鉄金属材料の加工に用いられているが、近年単結晶シリコンやゲルマニウム、超硬合金などの硬脆材料の加工にも適用され、いわゆる延性モード切削(Ductile Machining)と呼ばれている。超精密切削の加工精度は、切削工具(多くの場合は単結晶ダイヤモンド製)の精度(輪郭精度、刃先の鋭さ)に依存する。特に硬質材料の切削では工具が激しく摩耗するため、近年工具摩耗低減のための様々な試みが報告されている。たとえば、被削材の材質を制御することでダイヤモンド工具摩耗を抑制する研究[1]や楕円振動切削法[2]、ナノ粒子潤滑を援用した工具揺動切削法[3]による摩耗低減の研究が行われている。
外部リンク
引用
- 高橋功奈,ほか:2009年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,251-252.
- Suzuki N, Haritani M, Yang J, Hino R, Shamoto E (2007) Elliptical vibration cutting of tungsten alloy molds for optical glass parts. Annals of the CIRP 56(1):127–130.
- J. Yan, Z. Zhang, T. Kuriyagawa: Tool wear control in diamond turning of high-strength mold materials by means of tool swinging, CIRP Annals – Manufacturing Technology, 59, 1 (2010) 109-112.