精密加工

研削

研削 ( grinding ) とは、高速度で回転する研削砥石を工作物に干渉させ、両者の相対運動をさせることによって、工作物を切りくずとして除去し、所定の形状寸法に仕上げる機械加工法の一つである。

詳細

主な研削作業方式

研削では数十μm以下、超精密研削ではサブミクロン以下の切込み量を与え、砥石の工作物との接触面に存在する多数の砥粒切れ刃が同時に工作物を削り、その加工単位は非常に小さい。これによって表面粗さの小さい高品位な仕上面を高能率に得ることができる。なお、研削はディスク形状あるいはカップ形状の砥石を高速回転させて用いる点で、砥粒加工であるラッピング等の研磨とは区別される。

研削の主な作業方式には、図1に示すような円筒研削、平面研削、内面研削、心なし研削が挙げられ、これら以外にも歯車の歯面のプロファイル研削や切削工具の切れ刃の研削など、砥石と工作物の相対運動や砥石形状によって多岐にわたる研削作業の方式が実用されている。特に、近年では研削盤自体の精度やその運動精度ならびに制御技術がかなり向上し、エンジンのカムシャフトやクランクピンなどを高精度に研削する高度な技術も実現されている。さらに、研削盤や砥石の発展により研削の高速化が進んでおり、砥石周速度が200m/sの高速研削[1]も実用化されている。

研削加工では、砥石を設定量だけ切り込んでも、砥石の摩耗、砥石軸や工作物支持部の変位などのために、加工量が設定した砥石切込み量とは一致しない「切残し現象」[2]が生じる。しかし、量産工程における円筒研削や内面研削では定寸装置を用いることによって、研削による寸法誤差をかなり小さくすることができる。また、研削熱による工作物の熱変形も寸法誤差発生の一要因であるが、センシングによってこれを補正しサブミクロンレベルの高精度な円筒研削を実現する技術も開発されている[3]

また、研削は工作物を所定の形状、寸法および表面粗さに仕上げることの他に、所定の表面機能を創成することにも採用されている[4]

関連項目

外部リンク

引用

  1. 中山達臣,高木 純一郎,阪口 浩之,太田 稔,Rapid Rotation Grindingによる高品位・高能率加工第1報:ホイールおよび工作物周速度の高速化効果,砥粒加工学会誌,Vol. 51, No. 6,pp. 339-344,2007.
  2. 岡村健二郎,中島利勝,研削の過渡特性(第1報),精密機械,Vol. 38, No. 7,pp. 580-585,1972.
  3. 山本 優,クルマづくりにおける精密円筒研削技術,クルマづくりNEXT,ニュースダイジェスト社,pp.186-189,2011.
  4. 中島利勝,大橋一仁,黒川 純,大川憲毅,Vリブドベルトの摩擦係数調整成形研削加工─アラミド繊維強化ゴムの研削加工に関する研究(第5報)─,精密工学会誌,Vol. 63,No. 10,pp. 1469-1473,1997.
執 筆 : 大橋 一仁

PV数 : 1106