精密加工

超音波振動加工

超音波振動加工 ( Ultrasonic vibration-assisted machining ) は正確には超音波振動援用加工と呼ばれ、加工性能や加工精度を高める目的で行う加工法である。本加工は、約20kHz以上の周波数帯域の電力を圧電素子または磁歪素子に供給して超音波振動を発生させ、その振幅を振動ホーンなどで数µm~数十µmに拡大し、工具(切削工具、砥石など)、工作物または切削油剤に加えて加工する方法である。超音波振動の付加による加工の微細化、摩擦力・加工力の低減、キャビテーションの発生・崩壊などにより、高性能化(高能率化、高品位化(粗さ向上、形状精度向上、チッピング低減、圧縮残留応力化、錆抑制)、目づまり抑制、切りくず排出促進など)を図ることができる。

詳細

図1 超音波加工(超音波振動遊離砥粒加工)

この加工法には、超音波加工(超音波振動遊離砥粒加工)、超音波振動切削、超音波振動研削、超音波振動研磨、超音波振動塑性加工などが含まれる。 超音波加工は、図1に示すように、様々の断面形状をもつ非回転工具に超音波振動を加え、工具-工作物間にスラリ(砥粒と加工液を混ぜたもの)を入れて、主として硬脆材料(貴石を含む)に穴をあける加工法である。加工は、工具の振動を砥粒に伝えその振動エネルギーによって工作物を微小破壊して進行する。工具には焼入鋼、超硬合金など、砥粒にはB4C、ダイヤモンドなどが用いられる。

関連項目

執 筆 : 鬼鞍 宏猷

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