超音波振動研磨

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超音波振動研磨 ( Ultrasonic vibration assisted polishing ) は,微小なポリッシャを被加工面に一定荷重で押し付け,研磨砥粒を掛けながら超音波振動を付加することにより,研削加工面を仕上げ加工する加工方法である.仕上げ加工の高精度化,高能率化,自動化がより進展することが期待できる.

詳細

図1 ランジュバン型超音波2軸振動子の概略図
図2 同時4軸制御の超音波2軸振動援用研磨装置の概略図

(背景):近年のIT産業の発展に伴いデジタルカメラやDVDのピックアップなどに用いられるマイクロガラスレンズの高精度化と小型化が求められている.高精度なレンズの生産には超硬合金などの金型に対して超精密研削加工を行った後,仕上げ加工として超精密研磨加工により形状精度と表面粗さを向上させることが不可欠である.

(微小な非球面レンズ金型を研磨するための超音波振動研磨システム):ランジュバン型の圧電素子を2重に重ねることにより2軸振動する超音波振動子を開発している(図1).また近年需要が高まっている青色レーザピックアップレンズ用金型のように高NA非球面(高傾斜角をもつ)金型に対する自動超精密研磨加工に対応するために,この超音波2軸振動子を同時4軸(X,Y,Z,B)制御駆動テーブルに搭載し,非球面研磨システムを開発している(図2).

(加工事例):試作実験では2軸振動子の基本的振動特性の測定を行い,超硬合金に対する基本的な研磨特性を評価し,最後に,非球面研磨の可能性について検証している.0.1μmP-V以下の形状精度と10nmRz(2nmRa)以下の表面粗さを実現している(図3). [1][2]

図3 超硬合金非球面金型の加工結果

引用

  1. Suzuki H, Moriwaki T, Okino T, Ando Y (2006) Development of Ultrasonic Vibration Assisted Polishing Machine for Micro Aspheric Die and Mold. Annals of the CIRP 55/1:385–388.
  2. H.Suzuki, S.Hamada, T.Okino, M.Kondo, Y.Yamagata, T.Higuchi, Ultraprecision finishing of micro-asphric surface by ultrasonic two-axis vibration assisted polishing, CIRP Annals–Manufacturing Technology 59 (2010) 347-350.