「美的曲線」の版間の差分

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<b>美的曲線</b>(log-aesthetic curve)は、αというパラメータによって、クロソイド曲線(α=-1)、Nielsenのらせん(α=0)、対数らせん(α=1)、円のインボリュート曲線(α=2)を一般化させた曲線である。美的曲線は、対数美的曲線、対数型美的曲線とも呼ばれる。
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<b>美的曲線</b> (log-aesthetic curve)は、&alpha;というパラメータによって、クロソイド曲線(&alpha;=-1)、Nielsenのらせん(&alpha;=0)、対数らせん(&alpha;=1)、円のインボリュート曲線(&alpha;=2)を一般化させた曲線である。美的曲線は、対数美的曲線、対数型美的曲線とも呼ばれる。
  
 
==詳細==
 
==詳細==
===装置===
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===概要===
[[画像:XCT.png|thumb|200px|right|X線CT装置の概念図]]
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[[画像:biteki-Fig1.jpg|thumb|150px|right|曲率対数グラフ]]
スキャンの方式としては、検出器が1次元のファンビーム型と、検出器が2次元のコーンビーム型が代表的である。図1にコーンビーム型方式の模式図を示す。ファンビーム型は1回転で1断面のみスキャン可能なのに対して、コーンビーム型は1回転すれば全ての断面にあたるボリュームを取得できるため測定スピードに関して大きなアドバンテージがある。一方で、検出器が1次元である場合にはX線の散乱線対策であるコリメータの構築が容易であり、特に散乱線の影響が大きい高エネルギX線源を用いる装置ではファンビーム型が採用されることが多い。
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CAGD(Computer Aided Geometric Design)において、fairな曲線を生成するために、曲率単調な曲線を生成する研究は多く存在している。美的曲線は、曲率変化が単調という条件だけでなく、さらに曲率対数グラフ(文献<ref name="ref1">T. Harada, F. Yoshimoto, M. Moriyama: An aesthetic curve in the field of industrial design. Proceedings of IEEE Symposium on Visual Languages, pp. 38–47. IEEE Computer Society Press, 1999.</ref>では曲率対数分布図と呼ばれた)が直線であるという条件を持つ直線<ref name="ref2">K. T. Miura: A General Equation of Aesthetic Curves and Its Self-Affinity, Computer-Aided Design & Applications, Vol. 3, Nos. 1-4, pp.457-464, 2006.</ref>である。曲率対数グラフ(Fig.1)は、曲率半径を &rho;、弧長を s としたときに、横軸は log &rho;、縦軸は log(&rho;&sdot;ds/d&rho;) である(&rho; は s に対して単調に増加すると仮定する)。両対数グラフを用いて、美しい曲線を扱っていることから、U. C. BerkeleyのCarlo H. Séquinによってlog-aesthetic curveと名付けられた。
  
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曲率対数グラフの直線性は、c を定数としたとき、<br/>
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===データ処理===
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===美的曲線の全体像、性質、曲線セグメント===
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[[画像:biteki-Fig2.jpg|thumb|400px|right|美的曲線の全体像]]
装置からの直接的な出力はX線の投影データ(サイノグラム)であり、計算機上でCT再構成)<ref>1. Jiang Hsieh, Computed Tomography: Principles, Design, Artifacts, and Recent Advances, SPIE Press, 2003</ref>を行うことにより断面像(トモグラム)を得る。寸法計測のために形状データが必要な場合には、断面像上で注目する物体とそれ以外の領域の境界面をポリゴンメッシュとして抽出する。図2にこれらの処理の例を示す。
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美的曲線の全体像<ref name="ref3"></ref>をFig. 2に示す。美的曲線は、曲率半径 &rho; が 0 から &infin; まで変化するため、弧長 s が &alpha; に応じて上限または下限を持つ場合がある。&alpha;<0 の場合には曲率が0となる変曲点を持つ、&alpha;<0 の場合には &rho;=0 の点を持つなどの性質が分かっている<ref name="ref3"></ref>。両端点の位置と接線方向を与えて、全体像の中から対応する曲線セグメント(Fig.3)をリアルタイムに抽出する手法も提案されている<ref name="ref3"></ref>。
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[[画像:biteki-Fig3.jpg|thumb|150px|center|曲線セグメントの抽出]]
  
==引用==
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===美的空間曲線===
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[[画像:biteki-Fig4.jpg|thumb|300px|right|美的曲線セグメントと美的空間曲線の全体像上のセグメント]]
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曲率対数グラフの概念を捩率対数グラフにも拡張することによる美的空間曲線も提案されおり、曲線の全体像や性質が解明されており、曲線セグメントの描画手法も提案されている<ref>N. Yoshida, R. Fukuda, T. Saito, Log-Aesthetic Space Curve Segments, SIAM/ACM Joint Conference on Geometric and Physical Modeling (GDSPM), pp.35-46 2009.</ref>。Fig.4に美的曲線セグメントと対応する美的空間曲線の全体像上のセグメントを示す。
  
原著論文、著書など、他に著作権の存在する出版物等を引用する場合は、ここに脚注のリストを表示するようにしてください。
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==関連項目==
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*[[CAD]]
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*[[3D-CAD]]
  
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==外部リンク==
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*[http://www.wakayama-u.ac.jp/~harada/curve/index.html 和歌山大学原田研究室]
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*[http://ktm11.eng.shizuoka.ac.jp/profile/ktmiura/log-aesthetic.html 静岡大学三浦研究室]
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*[http://www.yoshida-lab.net/research-j/log-aesthetic/ 日本大学吉田研究室]、[http://www.yoshida-lab.net/aesthetic/gcad2006final.avi 対数美的曲線の概要のビデオ(DivX形式)]
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==引用==
 
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2018年1月10日 (水) 09:55時点における最新版

美的曲線 (log-aesthetic curve)は、αというパラメータによって、クロソイド曲線(α=-1)、Nielsenのらせん(α=0)、対数らせん(α=1)、円のインボリュート曲線(α=2)を一般化させた曲線である。美的曲線は、対数美的曲線、対数型美的曲線とも呼ばれる。

目次

詳細

概要

曲率対数グラフ

CAGD(Computer Aided Geometric Design)において、fairな曲線を生成するために、曲率単調な曲線を生成する研究は多く存在している。美的曲線は、曲率変化が単調という条件だけでなく、さらに曲率対数グラフ(文献[1]では曲率対数分布図と呼ばれた)が直線であるという条件を持つ直線[2]である。曲率対数グラフ(Fig.1)は、曲率半径を ρ、弧長を s としたときに、横軸は log ρ、縦軸は log(ρ⋅ds/dρ) である(ρ は s に対して単調に増加すると仮定する)。両対数グラフを用いて、美しい曲線を扱っていることから、U. C. BerkeleyのCarlo H. Séquinによってlog-aesthetic curveと名付けられた。

美的曲線の基本式

曲率対数グラフの直線性は、c を定数としたとき、

log(ρ⋅ds/dρ) = α log ρ + c

となる[2]。この基本式を変形、積分することによって、曲線式を導くことができる[2][3]。曲線式は、弧長によるものと、方向角によるものの2種類がある。どちらも本質的には同じものであるが、それぞれに計算上の利点があることが指摘されている[3]

美的曲線の全体像、性質、曲線セグメント

美的曲線の全体像

美的曲線の全体像[3]をFig. 2に示す。美的曲線は、曲率半径 ρ が 0 から ∞ まで変化するため、弧長 s が α に応じて上限または下限を持つ場合がある。α<0 の場合には曲率が0となる変曲点を持つ、α<0 の場合には ρ=0 の点を持つなどの性質が分かっている[3]。両端点の位置と接線方向を与えて、全体像の中から対応する曲線セグメント(Fig.3)をリアルタイムに抽出する手法も提案されている[3]

曲線セグメントの抽出

美的空間曲線

美的曲線セグメントと美的空間曲線の全体像上のセグメント

曲率対数グラフの概念を捩率対数グラフにも拡張することによる美的空間曲線も提案されおり、曲線の全体像や性質が解明されており、曲線セグメントの描画手法も提案されている[4]。Fig.4に美的曲線セグメントと対応する美的空間曲線の全体像上のセグメントを示す。

関連項目

外部リンク

引用

  1. T. Harada, F. Yoshimoto, M. Moriyama: An aesthetic curve in the field of industrial design. Proceedings of IEEE Symposium on Visual Languages, pp. 38–47. IEEE Computer Society Press, 1999.
  2. 2.0 2.1 2.2 K. T. Miura: A General Equation of Aesthetic Curves and Its Self-Affinity, Computer-Aided Design & Applications, Vol. 3, Nos. 1-4, pp.457-464, 2006.
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 N. Yoshida and T. Saito, Interactive Aesthetic Curve Segments, The Visual Computer (Pacific Graphics), Vol. 22, No.9-11, pp.896-905, 2006.
  4. N. Yoshida, R. Fukuda, T. Saito, Log-Aesthetic Space Curve Segments, SIAM/ACM Joint Conference on Geometric and Physical Modeling (GDSPM), pp.35-46 2009.