「レーザー走査型顕微鏡」の版間の差分

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[[画像:ビッカース圧痕の三次元形状測定例.png|thumb|right|図1 ビッカース圧痕の三次元形状測定例]]
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[[画像:共焦点光学系.png|thumb|right|図2 共焦点光学系]]
一般的な光学顕微鏡とは異なり,単に試料を観察するだけではなく,試料の三次元的な形状や構造の解析も可能であり(図1),ライフサイエンス分野や工業計測分野で広く用いられている.比較的簡単,高速に微細な領域の凹凸形状を測定できるため,近年では非接触表面性状測定機[1]として利用する場面も増えてきている.
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[[画像:光学セクショニング画像と形状測定の原理.png|thumb|right|図3 光学セクショニング画像と形状測定の原理]]
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[[画像:三次元形状データと全焦点画像.png|thumb|right|図4 三次元形状データと全焦点画像]]
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<B>用途</B><BR>
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一般的な光学顕微鏡とは異なり,単に試料を観察するだけではなく,試料の三次元的な形状や構造の解析も可能であり(図1),ライフサイエンス分野や工業計測分野で広く用いられている.比較的簡単,高速に微細な領域の凹凸形状を測定できるため,近年では非接触表面性状測定機<ref>JIS B 0681-6:2014 製品の幾何特性仕様(GPS) -表面性状:三次元- 第6部:表面性状測定方法の分類</ref>として利用する場面も増えてきている.
 
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対物レンズによって回折限界まで絞り込んだ集光スポット(一般には直径0.5µm~数µm程度)を二次元的に走査しながら試料表面に向けて照射する.対物レンズの焦点位置と光学的に共役な位置に配置した共焦点ピンホールを介して試料表面からの反射光を受光し二次元画像を構築する.このとき,焦点面以外からの光は共焦点ピンホールによって排除されるため,焦点の合った部分のみが画像化される(図2).この画像は光学セクショニング画像と呼ばれ,ボケ像が重畳しないため通常の光学顕微鏡よりもコントラストが高い.セクショニングの効果は光源波長が短いほど,対物レンズの開口数が大きいほど強くなる性質を持つ[2]
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対物レンズによって回折限界まで絞り込んだ集光スポット(一般には直径0.5µm~数µm程度)を二次元的に走査しながら試料表面に向けて照射する.対物レンズの焦点位置と光学的に共役な位置に配置した共焦点ピンホールを介して試料表面からの反射光を受光し二次元画像を構築する.このとき,焦点面以外からの光は共焦点ピンホールによって排除されるため,焦点の合った部分のみが画像化される(図2).この画像は光学セクショニング画像と呼ばれ,ボケ像が重畳しないため通常の光学顕微鏡よりもコントラストが高い.セクショニングの効果は光源波長が短いほど,対物レンズの開口数が大きいほど強くなる性質を持つ<ref>T. R. Corle, G. S. Kino, Confocal scanning optical microscopy and related imaging systems, Academic press (1996)</ref>
三次元形状測定の原理
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試料と対物レンズの距離を相対的に変化させながら光学セクショニング画像を複数取得し,画像の各画素について最大輝度値とその時の最大位置(Z)を求める(図3).各画素で求めた最大位置(Z)は標本表面の相対的な高さの分布を示していることから,これが三次元形状データとなる(図4左).また各画素で求めた最大輝度値を画像化したものは全ての画素位置で焦点の合った画像となっており,全焦点画像またはエクステンド画像(図4右)と呼ばれる.
 
試料と対物レンズの距離を相対的に変化させながら光学セクショニング画像を複数取得し,画像の各画素について最大輝度値とその時の最大位置(Z)を求める(図3).各画素で求めた最大位置(Z)は標本表面の相対的な高さの分布を示していることから,これが三次元形状データとなる(図4左).また各画素で求めた最大輝度値を画像化したものは全ての画素位置で焦点の合った画像となっており,全焦点画像またはエクステンド画像(図4右)と呼ばれる.
  
  
 
===図表の追加===
 
===図表の追加===
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==関連項目==
 
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2016年5月10日 (火) 15:20時点における最新版

レーザー走査型顕微鏡(Laser scanning microscope)とは,光軸方向にセクショニング効果を持つ共焦点顕微鏡の一種である.照明用の光源にレーザー光を使用する.“共焦点レーザー走査型顕微鏡”や単に“レーザー顕微鏡”と呼ばれることもある.


目次

詳細

図1 ビッカース圧痕の三次元形状測定例
図2 共焦点光学系
図3 光学セクショニング画像と形状測定の原理
図4 三次元形状データと全焦点画像

用途
一般的な光学顕微鏡とは異なり,単に試料を観察するだけではなく,試料の三次元的な形状や構造の解析も可能であり(図1),ライフサイエンス分野や工業計測分野で広く用いられている.比較的簡単,高速に微細な領域の凹凸形状を測定できるため,近年では非接触表面性状測定機[1]として利用する場面も増えてきている.

基本原理
対物レンズによって回折限界まで絞り込んだ集光スポット(一般には直径0.5µm~数µm程度)を二次元的に走査しながら試料表面に向けて照射する.対物レンズの焦点位置と光学的に共役な位置に配置した共焦点ピンホールを介して試料表面からの反射光を受光し二次元画像を構築する.このとき,焦点面以外からの光は共焦点ピンホールによって排除されるため,焦点の合った部分のみが画像化される(図2).この画像は光学セクショニング画像と呼ばれ,ボケ像が重畳しないため通常の光学顕微鏡よりもコントラストが高い.セクショニングの効果は光源波長が短いほど,対物レンズの開口数が大きいほど強くなる性質を持つ[2]

三次元形状測定の原理
試料と対物レンズの距離を相対的に変化させながら光学セクショニング画像を複数取得し,画像の各画素について最大輝度値とその時の最大位置(Z)を求める(図3).各画素で求めた最大位置(Z)は標本表面の相対的な高さの分布を示していることから,これが三次元形状データとなる(図4左).また各画素で求めた最大輝度値を画像化したものは全ての画素位置で焦点の合った画像となっており,全焦点画像またはエクステンド画像(図4右)と呼ばれる.


図表の追加

関連項目

外部リンク

オリンパス株式会社 技術情報

引用

  1. JIS B 0681-6:2014 製品の幾何特性仕様(GPS) -表面性状:三次元- 第6部:表面性状測定方法の分類
  2. T. R. Corle, G. S. Kino, Confocal scanning optical microscopy and related imaging systems, Academic press (1996)