ローカルウエットエッチング法(LWE)

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ローカルウエットエッチング法 ( Local Wet Etching;LWE ) は、エッチャントの供給部と吸引部を同軸状に配したノズルを用いて局在的な液相エッチング領域を形成し、ノズルもしくは加工物を速度制御走査することによって形状創成を行う無歪加工法である [1] [2]

通常の機械加工は工具先端の位置制御により形状を創成するため、加工精度は振動や熱変形等の影響を受ける、いわゆる母性原理に支配されるのに対し、本手法は、非接触な加工法であるため外乱の影響を受けにくく、ノズルヘッドの滞在時間制御により決定論的に形状を創成できる。また、化学反応により材料を除去するため、材料物性に影響を与える加工変質層が形成されない。

詳細

図1 NC-LWE装置の概要
加工装置
数値制御ローカルウエットエッチング装置(Numerically Controlled Local Wet Etching; NC-LWE)の概略を図1に示す。本装置は、同軸ノズルヘッド、エッチャント吸引用真空ポンプ、循環ポンプ、リザーブタンク、熱交換器、加工物もしくはノズルを相対移動させるための駆動軸およびNCコントローラから構成される。
図2 NC-LWEによる形状創成プロセスの概要
形状創成プロセス
NC-LWEによる形状創成プロセスの概要を図2に示す。本プロセスでは、前加工面の形状を精密に計測して目的形状からの偏差量(誤差量)を求め、加工量はノズルヘッドの滞在時間、すなわちエッチャントの接触時間に比例するという原理に基づき、加工物上の各点における偏差量を最小にするためのワークテーブルの送り速度データを加工シミュレーションにより作成する。送り速度データはNCコントローラに転送され、テーブルの走査速度制御により形状修正加工を行う。加工後に再度形状測定を行い、形状誤差が許容値以内になるまで上記プロセスを繰り返して目標精度を達成する。エッチャントの温度および濃度の高精度制御は比較的容易であるため、バッチ間およびバッチ内におけるエッチングレートの再現性と安定性は高く、要求精度がサブマイクロメータレベルであれば通常は1回の数値制御加工により決定論的に目的形状が得られる。

外部リンク

引用

  1. K. Yamamura, Fabrication of Ultra Precision Optics by Numerically Controlled Local Wet Etching, Annals of the CIRP, 56 (2007) 541-544.
  2. K. Yamamura, et al., Figuring of plano-elliptical neutron focusing mirror by local wet etching, Opt. Express, 17 (2009) 6414-6420.