セラミックスの放電加工

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セラミックスの放電加工(Electrical discharge machining of Ceramics) ( femtosecond laser ) とは、電気的導電性あるいは絶縁性を有するセラミックス材料に対する放電加工法である。

詳細

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放電加工において、加工が可能な材料の比抵抗はおおよそ100 [Ω・cm]以下[1]とされている。一方、セラミックスにはTiB2(比抵抗:10-5 [Ω・cm]程度)など、導電性を示すものもあれば、SiC(比抵抗:0.04 [Ω・cm]から106 [Ω・cm]程度[2])など、焼結状態によって比抵抗が大きく異なるものがある。さらにSi3N4 (比抵抗:1014[Ω・cm]程度)は高い絶縁性を示すが、放電加工が可能になるように導電性物質を添加した導電性Si3N4(比抵抗:5.7×10-4[Ω・cm] [3])などもあり、多様である。しかしその多くは絶縁材料に分類されるため、放電加工を行うことが困難とされる。また、セラミックスは一般に熱伝導率が小さく融点が高いため放電が集中する傾向にあり、加工には超硬合金も含めてパルス幅が小さく尖頭値の高いパルス電流が用いられる。金属は主に溶融飛散によって加工が行われるのに対して、セラミックス材料は昇華またはクラックの進展によっても加工される。

絶縁材料に分類されるセラミックスに対しては補助電極法を用いることで放電加工が可能となる場合がある。補助電極法を用いて図1に示すような形彫放電加工やワイヤ放電加工が実現している[1]。絶縁性セラミックスに対する放電加工では、通常の放電に加えて、設定したパルス幅を遥かに超える長パルス放電が発生し、加工物表面が改質されて導電性が保たれると考えられている。

補助電極法

図2のように加工対象となる絶縁性材料の表面を予め電気的導体で覆い放電加工油中で放電加工を実施する加工方法を指す。加工の進展に伴い電極が補助電極を貫通した後も、加工物材料、電極材料、放電加工油を構成する元素からなる導電性の被膜が表面に形成され、導電性が維持されることによって加工が継続する[4]。


引用

[1] 毛利尚武,福澤康,絶縁性セラミックスの放電加工,セラミックス,Vol. 37, No. 22, pp. 789-792, 2002.
[2] 中村守,久保勝司,平井幸男,反応焼結炭化ケイ素(SB-SiC)の放電加工,窯業協会誌,Vol. 92, No. 11, pp. 648-653, 1984.
[3] 三宅雅也,竹内久雄,放電加工可能なセラミックス-主としてSi3N4-,セラミックス,Vol. 21, No. 8, pp. 719-725, 1986.
[4] 谷貴幸,福澤康,古谷克司,毛利尚武,絶縁性セラミックスの放電加工プロセス,精密工学会誌,Vol. 63, No. 9, pp. 1310-1314, 1997.