単発放電

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単発放電 ( Single Discharge ) とは,ただ1回の放電現象のことをさす.

詳細

図1 単発放電痕

一般的に絶縁液中で行われる放電加工において, 単一パルスで発生する放電のことを意味する.通常の放電加工は,連続的なパルスを印加することで, 単発放電が連続して発生し,除去加工が進行する.実験的に単発放電を発生させるには,極間の距離を 数µm程度に保持して100V程度の単一パルスを印加すると,ただ1回の放電が発生する.パルス印加時間, 電極材料や工作物材料の組合せを変化させ,生成する放電痕形状を詳細に観察することにより, 放電加工の除去過程が推察される.写真はタングステンの細線電極を用いて放電加工油中で,電流値50A,パルス幅400µs, 電極極性(-)の条件で炭素鋼表面に生成した単発放電痕のSEM写真である.ほぼ円形の形をしており, 周囲には溶融部が飛散しきれずに付着した盛り上がりが存在する.写真の条件では,細線電極と平板工作物の組合せで 単発放電を発生させているため,生成する気泡は半球状となる.一方,通常の形彫り放電加工では, ある程度の大きさを持った電極で工作物を加工するため,発生した気泡は狭い極間を水平方向に拡大し,さらに連続的に 放電が発生する.放電痕の形成においては,生成する気泡の除去作用による影響が大きいと考えられており, 加工液の種類や極間距離などを含め,放電痕形状に与える要因は多い.最近では,発生する気泡の挙動を 高速度ビデオカメラで撮影することで,溶融材料の飛散タイミングを推察する研究も試みられている.