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CFRPとは,Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化樹脂の略称で,樹脂を炭素繊維により強化した複合材料の総称である.
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'''CFRP'''とは,Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化樹脂の略称で,樹脂を炭素繊維により強化した複合材料の総称である.
 
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==詳細==
 
==詳細==
  
[[画像:usage_sample.png|thumb|right|掲載例]]
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[[画像:CFRP-Fig1.png|thumb|right|Fig. 1 Type of CFRP]]
上の説明だけでは足りない場合や、細かな分類を挙げてそれぞれの特徴を論じる場合には適切なタイトルをつけて記述を追加ください。
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見出しの追加により、複数の事項についての記述を行うことができます。
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[[画像:CFRP-Fig2.png|thumb|right|Fig. 2 Forming methods]]
  
===図表の追加===
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=== 特徴 ===
また、写真や図面を利用する場合は、適切なサイズを用いたサムネールを設定し、枠を画面の右側に配置することをお勧めします
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<ref>本テンプレートにもありますが、セクションの冒頭にリンクを作成することで文章がうまく図表の左側に回りこみます</ref>。
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==関連項目==
 
  
関連する用語がPrecipediaに掲載され、これらを合わせて閲覧することでさらに用語への理解が深まる場合には、ぜひそれらの用語へのリンクを作成ください。
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 複合材料とは,二つ以上の異質で異形の材料から構成され,より高い力学的特性や機能を発揮する材料である.その中で,強い繊維を母材(Matrix)で結合して,繊維の特性を生かした複合材料を繊維強化複合材料(FRP: Fiber-Reinforced-Plastics)と呼び.CFRPはFRPの一種である.この材料では,繊維に荷重を分担させることで,高強度の複合材料を実現できる.炭素繊維の他にFRPに用いられる主な繊維材料は,ガラス繊維,セラミック繊維,アラミド繊維,絹,ジュート,炭素鋼,アルミニウム等である.また,近年では,セルロースナノファイバー(CNF)等も用いられる.
また、該当する用語が存在しない場合には、ここにリンクを作成した後にクリックすることで作成を開始することができます。
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*[[用語1]]
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 繊維材料は,金属と比較して質量密度が低く,引張強度と弾性率がはるかに大きいことが特徴である.炭素繊維は,他の繊維の引張強度が0.5-2.5 [GPa]であるのに対し7 [GPa]程度と非常に大きな引張強度を持っており,比重は1.8前後で,鉄の1/4程度と軽量である.そのため,CFRPは他のFRPと比較して比強度に優れる.
*[[用語2]]
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*[[用語3]]
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==外部リンク==
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 CFRPの耐熱温度・耐薬品性・硬さなどの特性は使用する樹脂に影響されるが,金属とは異なり酸化還元反応による腐食が発生しない材料であり,疲労し難い材料であることから高い耐久性が期待できる.また,高いX線透過率を持つことも特徴の一つである.成形品の具体的な機械的性質については,材料の仕様により大きく変化するためここではあえて割愛する.
  
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 FRP成形品はその構造上,繊維方向の剛性と強度は大きくなり,それ以外の方向では相対的に小さい値を示す.そのため,その異方性を考慮した設計が必要であり,通常は積層して用いられる.航空機の翼等では,繊維の配向によって飛行中の負荷による変形を制御するといった,材料の異方性を積極的に利用した設計が行われている.また,破壊様式も金属と比較して複雑であるため,強度の予測が難しいといった金属材料には存在しない課題も持つ.
ぜひそれらへのリンクを作成ください。
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*[http://www.hogehoge.ac.jp/mech/hogehoge ほげほげ大学工学部機械工学科ほげほげ研究室]<ref>架空のリンクです</ref>
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=== 材料分類 ===
*[http://www.hogehoge.co.jp/hogehoge ほげほげ株式会社ほげほげ事業部]
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==引用==
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 CFRPの仕様は炭素繊維の種類・形態と母材の種類の組み合わせにより決定される.繊維や樹脂の形態から分類した場合,図1のようになる.繊維の形態から分類した場合,連続繊維と不連続繊維に分類できる.連続繊維はその織物形態から,不連続繊維は繊維の長さから分類することができる.
  
原新版 複合材料・技術総覧,監修 福田 博,邉 吾一,末益博志,(株)産業技術サービスセンター,2011年,ISBN978-4-915957-52-9 C3053
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=== 中間基材 ===
  
日本製鋼所技報 No.67(2016.11)
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 CFRPは成形に用いられる手法別に,様々な形態の中間基材が用いられる.現在用いられている材料の一例を以下に示す.
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◦ ドライファブリック
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  ドライファブリックは樹脂の含侵が行われていない炭素繊維の布である.また,その布を目的形状に近い形状に予備的に成形したものをプリフォームと呼び,これらはRTM(Resin Transfer Molding)等に用いられる.
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 従来は平織り,綾織等の材料が一般的であったが,近年では賦形性に優れた多軸挿入たて編物基材(Non-Crimp Fabric : NCF)等も用いられる.
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◦ テーププリプレグ
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◦ 不連続繊維ペレット
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  熱可塑性樹脂と不連続繊維を混錬しペレット状にしたもので,以下の表1のように分類される.また,これらの材料を利用してプロックやシート,丸棒等様々な形態の材料が供給されている.
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=== 代表的な成形手法 ===
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  FRPの成形手法は生産手段から大別すると,手作業成形,機械成形,連続成形とその他に分けられる.図2に,その分類図を示す.また,以下にCFRPの成形に用いられる代表的な成形手法の説明を示す.
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'''【手作業成形法】'''
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◦ スプレーアップ法
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  積層時の原料供給をスプレー機により機械化させ連続化した手法で,触媒と促進剤を加えた樹脂をスプレーガンから吹き付け,同時に長繊維(25~50mm)を圧縮空気で吹き付け積層する.スプレーガンを塗装ロボットに取り付けることで,比較的容易に自動化が可能である.
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  しかし,脱泡工程の自動化は困難であり,無圧成形であるため繊維の含有率が低いといった問題がある.
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◦ ハンドレイアップ法
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  常温常圧でガスの発生なく硬化可能な不飽和ポリエステル樹脂を利用した最も基本的な成形手法である.刷毛やローラーなどの簡単な器具を用いて,人の手により型の上で繊維に樹脂を含侵させながら順次積み重ねた後,適切な温度管理下で樹脂を硬化させ,脱型仕上げを行う.
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型と設備費が安価なため,試作や大型品の少量生産に適している.しかし,作業者や場所などにより品質の差が発生しやすく,加圧しないため気泡などの欠陥が発生しやすい.
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◦ 真空バッグ法
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  真空バッグを用いた大気圧による加圧とオーブンによる加熱により成形する手法で,型にプリプレグシートを積層し,真空バッグでバギングし,真空を引き続けながらオーブンによる加熱で硬化を行う.
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 低温で硬化する樹脂を用いることで,型材料にウレタンなどのフォーム材や木材などの安価で加工が容易な材料の利用が可能であり,ボートやヨットの試作などの大型部品のワンオフ成形に有効である.
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 この成形法では,バッグ内の真空到達度と成形部材内の通気性が成形品質を大きく左右する.高い真空度は成形品内の気泡除去に効果があり,またそのためには各層における通気の確保が必要である.
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'''【機械成形法】'''
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◦ オートクレーブ法
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  オートクレーブ法におけるバギングの構成は真空バッグ法とほぼ同様であるが,オートクレーブ法ではバギングを密閉した圧力釜の中で空気圧を高めて圧力を加えつつ,加熱により硬化させる.高い圧力下で成形するため,内部の気泡がほぼ存在せず,非常に高品質な成形品が得られる.一部の高性能車や競技用車両の車体構造部品,航空機部品の製造等に用いられている.
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◦ マッチドメタルダイ法
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  SMC/BMC/プリプレグ/不連続繊維熱可塑性シート等を,金型プレスによる加圧と金型上での加熱を加えて成形する.圧力を加える成形であるが,オートクレーブ法と比較して生産性は高いが,気泡の存在などの品質面で劣る.
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◦ RTM / VaRTM
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  RTM法は雌雄一対の金型内に予め繊維を配置し,型を閉めた後,型内に短時間で硬化する樹脂を注入する成形法である.また,型内を減圧して行う手法をVaRTM法という.金型内に配置される繊維材料は,予め成形加工を施されたプリフォームと呼ばれるものが良く用いられる.そのため,繊維材料の配置,量,組み合わせの自由度が高い.一部の高性能車や競技用車両の車体構造部品の製造等に用いられている.
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  また,信頼性,再現性も高く,オートクレーブ法による成形を行う場合に,巨額の設備投資が必要であるという問題を解決できる手法として期待されている.
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'''【連続成形法】'''
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◦ 引き抜き
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  連続繊維を平行に引き揃え,樹脂を含浸後成形品の断面形状と同様の形状を持つ型に引き込み,型から出る頃には十分な保形性を持つまで熱や電子線により硬化させる成形手法である.
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長尺の部品が製造可能であり長尺方向に非常に高い強度と剛性を持つ成形品が得られる.しかし,真直ぐ且つ断面の形状・面積が一定な成形品しか得られない.長尺の梁等の製造に用いられる.
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'''【その他】'''
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◦ LFT-D (Long Fiber Thermoplastic - Direct)
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  二軸押出機の混錬技術と,新規に開発された装置による強化繊維の折損を抑制した輸送技術により,従来手法より長い繊維を実現することによる,不連続繊維強化熱可塑性CFRPの高強度化を狙って研究されている手法である.
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◦ ATL (Automated Tape Lay-up)
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  プログラムでコントロールされるヘッドによって,適切な幅のプリプレグを成形冶具上の任意の長さに順次積層しながら,必要に応じて加熱を行いつつコンパクションローラーで加圧密着させることにより積層する手法である.プリプレグのテープ幅は76mmから305mmのものが用いられる.航空機の主翼部品の自動積層等に用いられる.
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◦ AFP (Automated Fiber Placement)
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  基本的な原理はATLと同様であるが,円筒形状や複雑形状の成形品に対して自動積層を行う手法である.プリプレグのテープ幅は3mmから25mmである. また,近年では刺繍の技術を応用した繊維配置手法など,別の原理による繊維配置手法も登場している.
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◦ FW (Filament Winding)
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  樹脂を含浸させた連続繊維を回転する金型に巻きつけ,脱型・硬化する手法である.圧力容器に用いられる.
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==引用==
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新版 複合材料・技術総覧,監修 福田 博,邉 吾一,末益博志,(株)産業技術サービスセンター,2011年,ISBN978-4-915957-52-9 C3053
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日本製鋼所技報 No.67(2016.11)
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2019年3月5日 (火) 09:41時点における最新版

CFRPとは,Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化樹脂の略称で,樹脂を炭素繊維により強化した複合材料の総称である.

目次

詳細

Fig. 1 Type of CFRP
Table 1 Type of short carbon fiber
Fig. 2 Forming methods

特徴

 複合材料とは,二つ以上の異質で異形の材料から構成され,より高い力学的特性や機能を発揮する材料である.その中で,強い繊維を母材(Matrix)で結合して,繊維の特性を生かした複合材料を繊維強化複合材料(FRP: Fiber-Reinforced-Plastics)と呼び.CFRPはFRPの一種である.この材料では,繊維に荷重を分担させることで,高強度の複合材料を実現できる.炭素繊維の他にFRPに用いられる主な繊維材料は,ガラス繊維,セラミック繊維,アラミド繊維,絹,ジュート,炭素鋼,アルミニウム等である.また,近年では,セルロースナノファイバー(CNF)等も用いられる.

 繊維材料は,金属と比較して質量密度が低く,引張強度と弾性率がはるかに大きいことが特徴である.炭素繊維は,他の繊維の引張強度が0.5-2.5 [GPa]であるのに対し7 [GPa]程度と非常に大きな引張強度を持っており,比重は1.8前後で,鉄の1/4程度と軽量である.そのため,CFRPは他のFRPと比較して比強度に優れる.

 CFRPの耐熱温度・耐薬品性・硬さなどの特性は使用する樹脂に影響されるが,金属とは異なり酸化還元反応による腐食が発生しない材料であり,疲労し難い材料であることから高い耐久性が期待できる.また,高いX線透過率を持つことも特徴の一つである.成形品の具体的な機械的性質については,材料の仕様により大きく変化するためここではあえて割愛する.

 FRP成形品はその構造上,繊維方向の剛性と強度は大きくなり,それ以外の方向では相対的に小さい値を示す.そのため,その異方性を考慮した設計が必要であり,通常は積層して用いられる.航空機の翼等では,繊維の配向によって飛行中の負荷による変形を制御するといった,材料の異方性を積極的に利用した設計が行われている.また,破壊様式も金属と比較して複雑であるため,強度の予測が難しいといった金属材料には存在しない課題も持つ.

材料分類

 CFRPの仕様は炭素繊維の種類・形態と母材の種類の組み合わせにより決定される.繊維や樹脂の形態から分類した場合,図1のようになる.繊維の形態から分類した場合,連続繊維と不連続繊維に分類できる.連続繊維はその織物形態から,不連続繊維は繊維の長さから分類することができる.

中間基材

 CFRPは成形に用いられる手法別に,様々な形態の中間基材が用いられる.現在用いられている材料の一例を以下に示す.

例:

【連続繊維】

◦ ドライファブリック

  ドライファブリックは樹脂の含侵が行われていない炭素繊維の布である.また,その布を目的形状に近い形状に予備的に成形したものをプリフォームと呼び,これらはRTM(Resin Transfer Molding)等に用いられる.  従来は平織り,綾織等の材料が一般的であったが,近年では賦形性に優れた多軸挿入たて編物基材(Non-Crimp Fabric : NCF)等も用いられる.

◦ セミプレグ

  繊維布に樹脂を半含侵した材料であり,プリプレグと比較して成形時に繊維が容易に移動できる.RTM等に用いられる.

◦ プリプレグ(織物)

  繊維布に熱硬化性樹脂を含侵し半硬化状態にした材料であり,真空バッグ法,オートクレーブ法による硬化による成形に用いられる.

◦ テーププリプレグ

  一方向繊維(UD)プリプレグを一定幅にカットした材料でATL(Automatic Tape Lay-Up)等に用いられる.

◦ トウプリプレグ

  糸束状の炭素繊維に熱硬化性樹脂を含侵した材料で,FW(Filament Winding)に用いられる.

【不連続繊維】

◦ SMC (Sheet Molding Compound)/BMC (Balk Molding Compound)

  不連続繊維と樹脂,硬化剤,顔料,離型剤,増粘剤等を混錬し,シートまたはバルク状に成形し取り扱い性を良好にした材料である.マッチドメタルダイ法により成形する.

◦ 不連続繊維ペレット

  熱可塑性樹脂と不連続繊維を混錬しペレット状にしたもので,以下の表1のように分類される.また,これらの材料を利用してプロックやシート,丸棒等様々な形態の材料が供給されている.

代表的な成形手法

  FRPの成形手法は生産手段から大別すると,手作業成形,機械成形,連続成形とその他に分けられる.図2に,その分類図を示す.また,以下にCFRPの成形に用いられる代表的な成形手法の説明を示す.

【手作業成形法】

◦ スプレーアップ法

  積層時の原料供給をスプレー機により機械化させ連続化した手法で,触媒と促進剤を加えた樹脂をスプレーガンから吹き付け,同時に長繊維(25~50mm)を圧縮空気で吹き付け積層する.スプレーガンを塗装ロボットに取り付けることで,比較的容易に自動化が可能である.

  しかし,脱泡工程の自動化は困難であり,無圧成形であるため繊維の含有率が低いといった問題がある.

◦ ハンドレイアップ法

  常温常圧でガスの発生なく硬化可能な不飽和ポリエステル樹脂を利用した最も基本的な成形手法である.刷毛やローラーなどの簡単な器具を用いて,人の手により型の上で繊維に樹脂を含侵させながら順次積み重ねた後,適切な温度管理下で樹脂を硬化させ,脱型仕上げを行う.

型と設備費が安価なため,試作や大型品の少量生産に適している.しかし,作業者や場所などにより品質の差が発生しやすく,加圧しないため気泡などの欠陥が発生しやすい.

◦ 真空バッグ法

  真空バッグを用いた大気圧による加圧とオーブンによる加熱により成形する手法で,型にプリプレグシートを積層し,真空バッグでバギングし,真空を引き続けながらオーブンによる加熱で硬化を行う.

 低温で硬化する樹脂を用いることで,型材料にウレタンなどのフォーム材や木材などの安価で加工が容易な材料の利用が可能であり,ボートやヨットの試作などの大型部品のワンオフ成形に有効である.

 この成形法では,バッグ内の真空到達度と成形部材内の通気性が成形品質を大きく左右する.高い真空度は成形品内の気泡除去に効果があり,またそのためには各層における通気の確保が必要である.

【機械成形法】

◦ オートクレーブ法

  オートクレーブ法におけるバギングの構成は真空バッグ法とほぼ同様であるが,オートクレーブ法ではバギングを密閉した圧力釜の中で空気圧を高めて圧力を加えつつ,加熱により硬化させる.高い圧力下で成形するため,内部の気泡がほぼ存在せず,非常に高品質な成形品が得られる.一部の高性能車や競技用車両の車体構造部品,航空機部品の製造等に用いられている.

◦ マッチドメタルダイ法

  SMC/BMC/プリプレグ/不連続繊維熱可塑性シート等を,金型プレスによる加圧と金型上での加熱を加えて成形する.圧力を加える成形であるが,オートクレーブ法と比較して生産性は高いが,気泡の存在などの品質面で劣る.

◦ RTM / VaRTM

  RTM法は雌雄一対の金型内に予め繊維を配置し,型を閉めた後,型内に短時間で硬化する樹脂を注入する成形法である.また,型内を減圧して行う手法をVaRTM法という.金型内に配置される繊維材料は,予め成形加工を施されたプリフォームと呼ばれるものが良く用いられる.そのため,繊維材料の配置,量,組み合わせの自由度が高い.一部の高性能車や競技用車両の車体構造部品の製造等に用いられている.   また,信頼性,再現性も高く,オートクレーブ法による成形を行う場合に,巨額の設備投資が必要であるという問題を解決できる手法として期待されている.

【連続成形法】

◦ 引き抜き

  連続繊維を平行に引き揃え,樹脂を含浸後成形品の断面形状と同様の形状を持つ型に引き込み,型から出る頃には十分な保形性を持つまで熱や電子線により硬化させる成形手法である. 長尺の部品が製造可能であり長尺方向に非常に高い強度と剛性を持つ成形品が得られる.しかし,真直ぐ且つ断面の形状・面積が一定な成形品しか得られない.長尺の梁等の製造に用いられる.

【その他】

◦ LFT-D (Long Fiber Thermoplastic - Direct)

  二軸押出機の混錬技術と,新規に開発された装置による強化繊維の折損を抑制した輸送技術により,従来手法より長い繊維を実現することによる,不連続繊維強化熱可塑性CFRPの高強度化を狙って研究されている手法である.

◦ ATL (Automated Tape Lay-up)

  プログラムでコントロールされるヘッドによって,適切な幅のプリプレグを成形冶具上の任意の長さに順次積層しながら,必要に応じて加熱を行いつつコンパクションローラーで加圧密着させることにより積層する手法である.プリプレグのテープ幅は76mmから305mmのものが用いられる.航空機の主翼部品の自動積層等に用いられる.

◦ AFP (Automated Fiber Placement)

  基本的な原理はATLと同様であるが,円筒形状や複雑形状の成形品に対して自動積層を行う手法である.プリプレグのテープ幅は3mmから25mmである. また,近年では刺繍の技術を応用した繊維配置手法など,別の原理による繊維配置手法も登場している.

◦ FW (Filament Winding)

  樹脂を含浸させた連続繊維を回転する金型に巻きつけ,脱型・硬化する手法である.圧力容器に用いられる.

引用

新版 複合材料・技術総覧,監修 福田 博,邉 吾一,末益博志,(株)産業技術サービスセンター,2011年,ISBN978-4-915957-52-9 C3053

日本製鋼所技報 No.67(2016.11)