「切削油剤」の版間の差分
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主成分は鉱油および脂肪油であり、一般的に潤滑性、耐溶着性に優れるため、加工面の粗さや加工精度を要求される加工に適する。一方で、不水溶性切削油剤の多くは消防法によるところの危険物に該当するため、法規に基づいた措置、ならびに火災の危険に対する予防措置が必要である。JIS規格では、不水溶性切削油剤を下記の通り分類している<ref>JIS K2241 切削油剤</ref>。 | 主成分は鉱油および脂肪油であり、一般的に潤滑性、耐溶着性に優れるため、加工面の粗さや加工精度を要求される加工に適する。一方で、不水溶性切削油剤の多くは消防法によるところの危険物に該当するため、法規に基づいた措置、ならびに火災の危険に対する予防措置が必要である。JIS規格では、不水溶性切削油剤を下記の通り分類している<ref>JIS K2241 切削油剤</ref>。 | ||
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鉱油および/または脂肪油からなり、極圧添加剤を含まないもの | 鉱油および/または脂肪油からなり、極圧添加剤を含まないもの | ||
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N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(銅板腐食が150℃で2未満のもの) | N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(銅板腐食が150℃で2未満のもの) | ||
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N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で2以下、150℃で2以上のもの) | N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で2以下、150℃で2以上のもの) | ||
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(4) N4種 | (4) N4種 | ||
N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で3以上のもの) | N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で3以上のもの) | ||
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===水溶性切削油剤=== | ===水溶性切削油剤=== | ||
水で希釈して使用するため、優れた冷却性を有するとともに、引火の危険性がないために無人化運転に適している。さらに、廃棄時の環境負荷が低いことから、近年使用量が増加しているタイプの切削油剤である<ref>野上祐司,切削油剤における国内外の動向,砥粒加工学会,Vol. 58, No. 7, pp. 424 (2014)</ref>。その一方で、一般的に潤滑性能は不水溶性切削油剤には劣ること、バクテリアによる腐敗劣化を生じることに注意が必要である。JIS規格では、水溶性切削油剤を下記の通り分類している。 | 水で希釈して使用するため、優れた冷却性を有するとともに、引火の危険性がないために無人化運転に適している。さらに、廃棄時の環境負荷が低いことから、近年使用量が増加しているタイプの切削油剤である<ref>野上祐司,切削油剤における国内外の動向,砥粒加工学会,Vol. 58, No. 7, pp. 424 (2014)</ref>。その一方で、一般的に潤滑性能は不水溶性切削油剤には劣ること、バクテリアによる腐敗劣化を生じることに注意が必要である。JIS規格では、水溶性切削油剤を下記の通り分類している。 | ||
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+ | (1) A1種(エマルション) | ||
鉱油や脂肪油など、水に溶けない成分と界面活性剤からなり、水に加えて希釈すると外観が乳白色になるもの | 鉱油や脂肪油など、水に溶けない成分と界面活性剤からなり、水に加えて希釈すると外観が乳白色になるもの | ||
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+ | (2) A2種(ソリュブル) | ||
界面活性剤など水に溶ける成分単体、または水に溶ける成分と鉱油や脂肪油など水に溶けない成分からなり、水に加えて希釈すると外観が半透明ないし透明になるもの | 界面活性剤など水に溶ける成分単体、または水に溶ける成分と鉱油や脂肪油など水に溶けない成分からなり、水に加えて希釈すると外観が半透明ないし透明になるもの | ||
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+ | (3) A3種(ソリューション) | ||
水に溶ける成分からなり、水に加えて希釈すると外観が透明になるもの | 水に溶ける成分からなり、水に加えて希釈すると外観が透明になるもの | ||
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2016年3月8日 (火) 10:53時点における最新版
切削油剤 ( Cutting fluid ) とは、金属などの切削加工を行う際に、工具ならびに被削材の潤滑や冷却、切りくずの排出性向上などを目的として使用される油剤の総称である。
目次 |
詳細
18世紀中期の産業革命時頃から使用が開始された切削油剤については,1883年にF. W. Taylor[1]が注水によって加工能率が向上することを実験的に確認して以来、H. ErnstならびにM. E. Merchant[2]、M. C. Shawt[3]らによってその作用機構に関する研究が進められ、今日に引き継がれている[4]。 現在の切削油剤は、希釈せずに使用する不水溶性切削油剤と、水に希釈して使用する水溶性切削油剤に大別される。切削油剤の選定にあたっては、加工内容(加工方法・被削材・工具など)、および各種油剤の特徴を十分に把握・検討し、決定する必要がある。
不水溶性切削油剤
主成分は鉱油および脂肪油であり、一般的に潤滑性、耐溶着性に優れるため、加工面の粗さや加工精度を要求される加工に適する。一方で、不水溶性切削油剤の多くは消防法によるところの危険物に該当するため、法規に基づいた措置、ならびに火災の危険に対する予防措置が必要である。JIS規格では、不水溶性切削油剤を下記の通り分類している[5]。
(1) N1種 鉱油および/または脂肪油からなり、極圧添加剤を含まないもの
(2) N2種 N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(銅板腐食が150℃で2未満のもの)
(3) N3種 N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で2以下、150℃で2以上のもの)
(4) N4種 N1種の組成を主成分とし、極圧添加剤を含むもの(硫黄系極圧添加剤を必須とし、銅板腐食が100℃で3以上のもの)
水溶性切削油剤
水で希釈して使用するため、優れた冷却性を有するとともに、引火の危険性がないために無人化運転に適している。さらに、廃棄時の環境負荷が低いことから、近年使用量が増加しているタイプの切削油剤である[6]。その一方で、一般的に潤滑性能は不水溶性切削油剤には劣ること、バクテリアによる腐敗劣化を生じることに注意が必要である。JIS規格では、水溶性切削油剤を下記の通り分類している。
(1) A1種(エマルション) 鉱油や脂肪油など、水に溶けない成分と界面活性剤からなり、水に加えて希釈すると外観が乳白色になるもの
(2) A2種(ソリュブル) 界面活性剤など水に溶ける成分単体、または水に溶ける成分と鉱油や脂肪油など水に溶けない成分からなり、水に加えて希釈すると外観が半透明ないし透明になるもの
(3) A3種(ソリューション) 水に溶ける成分からなり、水に加えて希釈すると外観が透明になるもの
外部リンク
引用
- ↑ F. W. Talyor, On the art of cutting metals, ASME, New York (1906)
- ↑ H. Ernst, M. E. Merchant, Chip formation and high quality machined surface, Trans ASM, Vol. 29, pp. 299 (1941)
- ↑ M. C. Shaw, On the action of metal cutting fluids at low speed, Wear, Vol. 2, pp. 217 (1958/1959)
- ↑ 精密工学会,新版 精密工作便覧,コロナ社 (1992)
- ↑ JIS K2241 切削油剤
- ↑ 野上祐司,切削油剤における国内外の動向,砥粒加工学会,Vol. 58, No. 7, pp. 424 (2014)