「割断」の版間の差分

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2016年10月15日 (土) 11:55時点における版

割断(cleavage)とは、亀裂進展を利用したガラスやセラミックス等の硬脆材料の切断法の一種である。


目次

詳細

 割断法は砥石等を用いる切断法とは異なり、材料表面や内部に生成させた亀裂を、機械的・熱的応力によって進展させることによって材料を分割するため、切り代が不要で、平滑な破断面を得ることができるという特長を有している。本手法は、ガラス切り工具を使用した板ガラスの分割方法としてよく知られているが、近年では、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板等の電子機器製造分野でも広く用いられている。

 代表的な割断法としては、ホイール状工具を用いて被加工材表面に切り溝を入れた後(スクライブ工程)、曲げ応力によって亀裂を進展させる(ブレーク工程)「機械的割断」と、工具を用いて被加工材端部に形成した初期亀裂を、レーザ照射と急冷によって生じた熱応力で進展させる「レーザ割断」が挙げられる。これら以外にも、ホイールによるスクライブ後にレーザ照射を行い、熱応力によってブレークするハイブリッド割断法[1]や、ホイールに超音波を与えながらスクライブを行う方法[2]、レーザビームを被加工材内部に集光し、内部のみに亀裂を生じさせる方法(ステルスダイシングの名称で知られる)等も考案されている。また、加工対象や目的に応じてホイール形状の最適化も進められており、様々な形状・材質のホイールが市販されている。

 近年、被加工材(特にガラス基板)の大型化・薄型化が進んでおり、割断面の微小な欠陥が基板自体の強度を著しく低下させるため、割断面品質の向上が強く求められている.また、スマートフォンやタブレット端末に使用される化学強化ガラス、炭化ケイ素(SiC)半導体、ダイヤモンド半導体のように、これまでのプロセスでは高精度割断が困難な材料も出現しており、革新的な割断技術の開発が課題となっている。このような背景から、最近では高速偏光計測手法を用いてスクライブ時のガラス内部応力場を可視化し、割断面品質と関連付ける試みも行われている[3]



関連項目


外部リンク


引用

  1. C. H. Tsai et al., J. Mat. Process. Tech., 198 (2008) 350-358.
  2. Y. S. Liao et al., Intl. J. Machine Tools & Manuf., 50 (2010) 532-537.
  3. 松坂ら,精密工学会誌,81 (2015) 270-275.