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<b>大規模環境レーザ計測点群処理</b>は,大型設備や構造物,市街地や自然環境のレーザ計測で得られた点群を,対象の保守,検査,計画,維持管理に活用するためのデータ処理技術である.
不必要な文章を適時修正・消去してご利用ください。
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まずは文頭で用語の定義を簡潔に記述ください。
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==詳細==
Wikipedia<ref>MediaWikiを利用している辞書作成プロジェクトです。</ref>では、
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===大規模環境レーザ計測技術の利用===
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数十メートル先から数キロメートル先の物体の3次元計測が可能な中・長距離レーザ計測器により,プラント,船舶,建築などの大型構造物,道路,トンネル,橋梁などの社会インフラ,森林などの自然環境,遺跡や文化財といった,大規模環境の3次元計測が可能になっている<ref>金井理他,特集:大規模環境の3次元計測と認識・モデル化技術,精密工学会誌,Vol. 79, No. 5, 2013</ref>.レーザ計測により得られるデータは3次元の点の集合であり,点群(Point Cloud)と呼ばれる.点群は,プラント,土木,測量,建築,文化財,エンターテイメント,考古学,法廷問題の幅広い分野において,対象の保守,検査,計画,維持管理,デジタルアーカイブなどに利用されている.
  
<b>○○</b>(英語表記)は、~~~~で、~~~~である。
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===レーザスキャナの種類と測距方式===
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大規模環境のレーザ計測には,航空機搭載型レーザスキャナ(Airborne Laser Scanner,ALS),車載型(移動式)レーザスキャナ(Mobile Laser Scanner,MLS),地上設置型レーザスキャナ(Terrestrial Laser Scanner,TLS)が主に用いられている.車載型レーザスキャナはMobile Mapping System(MMS)とも呼ばれる.レーザによる測距方式は,光パルスの飛行時間を計測する光飛行時間計測(Time-of-Flight,TOF)方式と,変調したレーザ光の位相差を比較する位相差検出方式の2つが採用されている.一般的に,光飛行時間計測方式は長距離計測が可能であり,機種によっては1kmを超える長距離計測が可能なものもある.位相差検出方式は,光飛行時間計測方式に比べ短距離の計測となるが,単位時間当たりの計測点数が非常に大きいという特徴がある.ただし,最近では光飛行時間計測方式においても,高速な計測ができる機種が開発されており,技術的にはまだ進化が続いている.
  
と冒頭に定義を行い、その後追加で説明を行うスタイルを推奨しています。
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===大規模環境のレーザ計測点群===
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[[画像:Daikibo-fig1.png|thumb|200px|right|図1 市街地のレーザ計測点群]]
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中・長距離レーザ計測で得られる点群の各点は,xyz座標値の情報に加え,レーザの反射強度(Intensity),反射パルス番号(Pulse return number),パルスの反射波形(Full waveform),点の取得時刻(UTC時刻など),サーマルセンサによる温度情報,ディジタル画像による色情報が付与される場合がある.点群は,オクル―ジョン(遮蔽)による欠損,高いレベルの計測ノイズ,物体境界付近における大量の異常値,大きな点密度差,不均一な点分布(スキャンライン),莫大なデータ量(数千万点~数十億点以上)など,安定かつ高速なデータ処理を困難にする特徴を持つ.屋外環境では自然物と人工物が混在しており,スケールや形状の複雑さが大きく異なる物体が点群内に含まれている(図1).
  
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===レーザ計測点群処理===
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主なレーザ計測点群処理を以下に記す.
  
==詳細==
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*フィルタリング(Filtering):
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点群から計測ノイズや異常値を取り除く.特定の物体を表す点を除去する処理(たとえば数値地形モデル(Digital Terrain Model, DTM)作成のための建物や樹木等の地物除去)や,点の間引き処理にも本用語は用いられる.
  
[[画像:usage_sample.png|thumb|right|掲載例]]
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*レジストレーション(Registration,位置合せ):
上の説明だけでは足りない場合や、細かな分類を挙げてそれぞれの特徴を論じる場合には適切なタイトルをつけて記述を追加ください。
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[[画像:Daikibo-fig2.png|thumb|200px|right|図2 屋外計測点群のレジストレーション(各色が個々の点群を表す)]]
見出しの追加により、複数の事項についての記述を行うことができます。
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異なる場所からTLSにより計測して得た点群同士や,異なる計測システムで得られた点群同士の位置と姿勢を調整し,対象を正確に表現する統合点群を得る.点群内の対応を一致させる座標変換を推定し,点群に適用する(図2).
  
===図表の追加===
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*特徴抽出(Feature Extraction):
また、写真や図面を利用する場合は、適切なサイズを用いたサムネールを設定し、枠を画面の右側に配置することをお勧めします
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点群の表す形状の法線や曲率などの幾何特徴量を推定する.法線や近似曲率の推定には主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)がよく用いられる.
<ref>本テンプレートにもありますが、セクションの冒頭にリンクを作成することで文章がうまく図表の左側に回りこみます</ref>。
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==関連項目==
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*セグメンテーション(Segmentation):
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点群を物体ごとや曲面ごとの部分点群(セグメント)に分割する.領域成長法やHough変換,RANSAC(RANdom SAmple Consensus)<ref>Martin A. Fischler and Robert C. Bolles, Random sample consensus: a paradigm for model fitting with applications to image analysis and automated cartography, Communications of the ACM, Vol. 24, No. 6, pp.381-395, 1981</ref>がよく用いられる.
  
関連する用語がPrecipediaに掲載され、これらを合わせて閲覧することでさらに用語への理解が深まる場合には、ぜひそれらの用語へのリンクを作成ください。
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*曲面/プリミティブ抽出(Surface/Primitive Extraction):
また、該当する用語が存在しない場合には、ここにリンクを作成した後にクリックすることで作成を開始することができます。
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[[画像:Daikibo-fig3.png|thumb|200px|right|図3 プラント計測点群からのプリミティブ抽出<ref>松岡諒,増田宏,大規模点群からの生産設備の形状再構成,精密工学会誌, Vol. 80, No. 6, 604-608, 2014</ref>]]
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点群から解析曲面やプリミティブ形状を抽出する.領域成長法やHough変換,RANSAC,最小自乗法がよく用いられる.プラントや設備の計測点群に対しては,特に平面と円筒面の正確な抽出が求められる(図3).
  
*[[用語1]]
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*表面再構成(Surface Reconstruction):
*[[用語2]]
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点群から計測対象物の表面を再構成する.表面モデルとしてメッシュモデルやポリゴンモデルを生成する.
*[[用語3]]
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==外部リンク==
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*物体認識(Object Recognition):
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点群内に含まれる物体を認識する.手続き型手法,機械学習に基づく手法,モデルベース手法などがある.プラントや設備においては,規格の識別や,部品間の連結情報の認識が求められる.
  
執筆者の所属研究組織、製品製造企業など、これらを合わせて閲覧することでさらに用語への理解が深まるサイトが存在する場合は
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*CADモデル生成(CAD Model Generation):
ぜひそれらへのリンクを作成ください。
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点群から設備や環境のCADモデルを生成する.プラントや土木,建築の分野においては,点群から生成されたモデルはAs-Builtモデルと呼ばれる.
  
*[http://www.hogehoge.ac.jp/mech/hogehoge ほげほげ大学工学部機械工学科ほげほげ研究室]<ref>架空のリンクです</ref>
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*変化検出(Change Detection):
*[http://www.hogehoge.co.jp/hogehoge ほげほげ株式会社ほげほげ事業部]
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[[画像:Daikibo-fig4.png|thumb|200px|right|図4 点群の差分比較による橋脚の変化検出]]
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異なる時期に取得した点群間の差分を検出する.環境の変化の認識や,構造物の変形の解析および劣化診断を行う(図4).
  
==引用==
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現在,点群データ処理向けのフリーソフトウェアやオープンソースライブラリが利用可能である<ref>PCL:Point Cloud Library, http://pointclouds.org/</ref><ref>CloudCompare, http://www.danielgm.net/cc/</ref><ref>MeshLab, http://meshlab.sourceforge.net/</ref>.安定かつ効率的なデータ処理のために,点の取得規則に関する情報や,対象の形状に関する知識,直交性に関する仮説<ref>Carlos A. Vanegas, Daniel G. Aliaga, and Bedřich. Beneš, Building Reconstruction using Manhattan-World Grammars, Proceedings of Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), pp. 358-365, 2010</ref>などが用いられる.
  
原著論文、著書など、他に著作権の存在する出版物等を引用する場合は、ここに脚注のリストを表示するようにしてください。
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==外部リンク==
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*[http://www.sparj.com Spar Japan]
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*[http://www.sparpointgroup.com Spar Point Group]
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*[http://srm3d.jspe.or.jp 精密工学会大規模環境の3次元計測と認識・モデル化技術専門委員会]
  
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==引用==
 
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記入の最後には、必ず用語の読み方とカテゴリに関する情報を追加するようにしてください。
 
  
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2016年5月10日 (火) 16:19時点における最新版

大規模環境レーザ計測点群処理は,大型設備や構造物,市街地や自然環境のレーザ計測で得られた点群を,対象の保守,検査,計画,維持管理に活用するためのデータ処理技術である.

目次

詳細

大規模環境レーザ計測技術の利用

数十メートル先から数キロメートル先の物体の3次元計測が可能な中・長距離レーザ計測器により,プラント,船舶,建築などの大型構造物,道路,トンネル,橋梁などの社会インフラ,森林などの自然環境,遺跡や文化財といった,大規模環境の3次元計測が可能になっている[1].レーザ計測により得られるデータは3次元の点の集合であり,点群(Point Cloud)と呼ばれる.点群は,プラント,土木,測量,建築,文化財,エンターテイメント,考古学,法廷問題の幅広い分野において,対象の保守,検査,計画,維持管理,デジタルアーカイブなどに利用されている.

レーザスキャナの種類と測距方式

大規模環境のレーザ計測には,航空機搭載型レーザスキャナ(Airborne Laser Scanner,ALS),車載型(移動式)レーザスキャナ(Mobile Laser Scanner,MLS),地上設置型レーザスキャナ(Terrestrial Laser Scanner,TLS)が主に用いられている.車載型レーザスキャナはMobile Mapping System(MMS)とも呼ばれる.レーザによる測距方式は,光パルスの飛行時間を計測する光飛行時間計測(Time-of-Flight,TOF)方式と,変調したレーザ光の位相差を比較する位相差検出方式の2つが採用されている.一般的に,光飛行時間計測方式は長距離計測が可能であり,機種によっては1kmを超える長距離計測が可能なものもある.位相差検出方式は,光飛行時間計測方式に比べ短距離の計測となるが,単位時間当たりの計測点数が非常に大きいという特徴がある.ただし,最近では光飛行時間計測方式においても,高速な計測ができる機種が開発されており,技術的にはまだ進化が続いている.

大規模環境のレーザ計測点群

図1 市街地のレーザ計測点群

中・長距離レーザ計測で得られる点群の各点は,xyz座標値の情報に加え,レーザの反射強度(Intensity),反射パルス番号(Pulse return number),パルスの反射波形(Full waveform),点の取得時刻(UTC時刻など),サーマルセンサによる温度情報,ディジタル画像による色情報が付与される場合がある.点群は,オクル―ジョン(遮蔽)による欠損,高いレベルの計測ノイズ,物体境界付近における大量の異常値,大きな点密度差,不均一な点分布(スキャンライン),莫大なデータ量(数千万点~数十億点以上)など,安定かつ高速なデータ処理を困難にする特徴を持つ.屋外環境では自然物と人工物が混在しており,スケールや形状の複雑さが大きく異なる物体が点群内に含まれている(図1).

レーザ計測点群処理

主なレーザ計測点群処理を以下に記す.

  • フィルタリング(Filtering):

点群から計測ノイズや異常値を取り除く.特定の物体を表す点を除去する処理(たとえば数値地形モデル(Digital Terrain Model, DTM)作成のための建物や樹木等の地物除去)や,点の間引き処理にも本用語は用いられる.

  • レジストレーション(Registration,位置合せ):
図2 屋外計測点群のレジストレーション(各色が個々の点群を表す)

異なる場所からTLSにより計測して得た点群同士や,異なる計測システムで得られた点群同士の位置と姿勢を調整し,対象を正確に表現する統合点群を得る.点群内の対応を一致させる座標変換を推定し,点群に適用する(図2).

  • 特徴抽出(Feature Extraction):

点群の表す形状の法線や曲率などの幾何特徴量を推定する.法線や近似曲率の推定には主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)がよく用いられる.

  • セグメンテーション(Segmentation):

点群を物体ごとや曲面ごとの部分点群(セグメント)に分割する.領域成長法やHough変換,RANSAC(RANdom SAmple Consensus)[2]がよく用いられる.

  • 曲面/プリミティブ抽出(Surface/Primitive Extraction):
図3 プラント計測点群からのプリミティブ抽出[3]

点群から解析曲面やプリミティブ形状を抽出する.領域成長法やHough変換,RANSAC,最小自乗法がよく用いられる.プラントや設備の計測点群に対しては,特に平面と円筒面の正確な抽出が求められる(図3).

  • 表面再構成(Surface Reconstruction):

点群から計測対象物の表面を再構成する.表面モデルとしてメッシュモデルやポリゴンモデルを生成する.

  • 物体認識(Object Recognition):

点群内に含まれる物体を認識する.手続き型手法,機械学習に基づく手法,モデルベース手法などがある.プラントや設備においては,規格の識別や,部品間の連結情報の認識が求められる.

  • CADモデル生成(CAD Model Generation):

点群から設備や環境のCADモデルを生成する.プラントや土木,建築の分野においては,点群から生成されたモデルはAs-Builtモデルと呼ばれる.

  • 変化検出(Change Detection):
図4 点群の差分比較による橋脚の変化検出

異なる時期に取得した点群間の差分を検出する.環境の変化の認識や,構造物の変形の解析および劣化診断を行う(図4).

現在,点群データ処理向けのフリーソフトウェアやオープンソースライブラリが利用可能である[4][5][6].安定かつ効率的なデータ処理のために,点の取得規則に関する情報や,対象の形状に関する知識,直交性に関する仮説[7]などが用いられる.

外部リンク

引用

  1. 金井理他,特集:大規模環境の3次元計測と認識・モデル化技術,精密工学会誌,Vol. 79, No. 5, 2013
  2. Martin A. Fischler and Robert C. Bolles, Random sample consensus: a paradigm for model fitting with applications to image analysis and automated cartography, Communications of the ACM, Vol. 24, No. 6, pp.381-395, 1981
  3. 松岡諒,増田宏,大規模点群からの生産設備の形状再構成,精密工学会誌, Vol. 80, No. 6, 604-608, 2014
  4. PCL:Point Cloud Library, http://pointclouds.org/
  5. CloudCompare, http://www.danielgm.net/cc/
  6. MeshLab, http://meshlab.sourceforge.net/
  7. Carlos A. Vanegas, Daniel G. Aliaga, and Bedřich. Beneš, Building Reconstruction using Manhattan-World Grammars, Proceedings of Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), pp. 358-365, 2010